遺言書が必要な理由
家族の構成や生活の仕方が変わってきた
◯戦前は数世代の家族が同居し、家族の絆が強く、又、家督制度により長男が全てを引き継ぐ慣習があり、遺言書が作成される事はほとんど有りませんでした。 ◯戦後の戸籍法の改正により、核家族化が進み、数世代の同居では無く世代ごとの別居が増え、親族間の絆が希薄になってきました。
慣習と法律の調整役となり相続を円満に進める為。
◯相続争いが起こると法律に沿った解決法が促されます。 ◯戦後改正された新民法では、亡くなられた方と各相続人との間の寄与等の負担関係を考慮せずに財産を平等に分けますが、相続人間の関係に亀裂が入り、争いを深くしてしまう事があります。 ◯そこで、その寄与等の負担関係と法律のギャップを調整する事が出来るのが遺言書です。 ◯その遺言書を書くことで、家族・親族間の関係の実態に合った財産分けが可能なり、相続が円満、円滑に進みます。
将来の心配事の解消と本人の長生きと家族の絆の修復
◯遺言書を書く事により、将来の心配事を未然に防ぎ、心配事が解消され、書いた方が安心します。 ◯遺言書を書く事で安心し、ストレスのない健康で幸せな人生が送れます。 ◯その結果として遺言書は本人の「長生きの道具」となります。 ◯遺言書に家族向けの付言(家族への思い)を書くことで、家族の絆が深まる事になります。
遺言書の種類と書き方
◯自筆証書遺言:記載例(財産の種類が多ければ数枚に及びます。) ※遺言者が規定された項目を自筆で記載して署名・押印する方式
◯公正証書遺言:記載例(財産の種類が多ければ数枚に及びます。) 公証人が遺言者の口述した内容を遺言書として作成し、その内容を遺言者と証人二人に読み上げ、内容が間違いないか確認し、遺言者、証人、公証人の順に署名、捺印し作成する
◯秘密証書遺言 遺言者が遺言書に署名・押印しその証書を封じ、証書に用いた印章で封印。その後、遺言者が公証人1人と証人2人以上の前で封書を提出し公証人が規定された方式でこれに署名・押印する方式
◇自筆証書遺言を入れる封筒の記載例
◇秘密証書遺言を入れる封紙の記載例
メリット | デメリット | |
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自筆証書遺言 | 最も手軽に作成できる。 遺言の内容を秘密にしておける。 | 様式不備で無効になる恐れがある。 偽造や紛失、盗難の恐れがある。 死後、発見されないことがある。 開封に家庭裁判所の検認手続が必要で、相続人の手間がかかる。 |
公正証書遺言 | 公証人が作成するので様式不備で無効になる恐れが少ない。 原本を公証役場で保管するので、偽造や紛失の恐れがない。 検認手続が不要。 | 公証人手数料などの費用がかかる。 証人の立会いが必要になる。 内容を公証人と証人に知られる。 (士業が立会う場合は守秘義務が有る) |
秘密証書遺言 | 遺言の内容を一切秘密にしておける。 代筆やワープロで作成できる。 | 様式不備で無効になる恐れがある。 公証人手数料などの費用がかかる。 証人の立会いが必要になる。 開封に家庭裁判所の検認が必要。 紛失の恐れがある。 実際にはほとんど使用されていない。 |